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モーツァルト音楽療法

埼玉医科大学短期大学名誉教授、前・埼玉医科大学教授でモーツァルト音楽療法の第一人者とされる和合治久教授は、「日本食生活学会誌 Vol.20 No.4」(2010)に発表された論文『未病改善における音楽療法ー豊かな食生活を求めてー』の中で、モーツァルトの音楽を30分間ヘッドホーンを用いて目を閉じ自分に適した音量で聴き入ることが、人間の血液循環系、免疫系あるいは血圧や心拍、体温などの生理機能にいかなる影響を及ぼすかについて長年研究してきた結果、

1)唾液分泌量が増加すること
2)唾液IgAが増加すること
3)唾液コルチゾールが減少すること
4)唾液インスリンが増加すること
5)食前では、唾液αアミラーゼが増加すること
6)抹消の体温が上昇すること
7)血液中のリンパ球数が増加すること
8)インターフェロンーγ産生が高まること
9)血圧や心拍がより安定すること

が明らかになったと記載しています。

さらに、同論文では「こうした事実から、モーツァルトの音楽療法によって副交感神経にスイッチが入り、交換神経優位で引き起こされる多くの生活習慣病に対して改善する効果が期待できることが示唆されています。実際に、多くの患者で生活習慣病の改善が認められているのです。その中には、消化機能が改善され、便秘症や下痢症が音楽療法で改善し、食生活が豊かになった事例もたくさんあります」と指摘されています。

ちなみに上記の和合教授は日本における「モーツァルト音楽療法」のブームの火付け役として有名です。
和合教授がモーツァルトの音楽が身体に良いとしている根拠は、モーツァルトの音楽の特性として、

1)約3500ヘルツ以上の高い周波数の音が豊富に存在すること
2)小川のせせらぎあるいは風のそよぎのような優しいゆらぎを伴う音の揺れが多いこと
3)和音が豊富であるために音同士がぶつかりあって、さらに高い周波数が生み出される倍音という性質が多いこと
4)純粋で透明感があり心身に抵抗なく浸透してくること

などが挙げられると、上記の論文の中で主張されています。

モーツァルトの音楽の効果に関しては、フランスの耳鼻咽喉科医の権威アルフレッド・トマティス博士もまた1991年に出版された著書『なぜモーツァルト?』Pourquoi Mozart? (Why Mozart?)の中で述べています。

ただ「モーツァルト」の音楽が持つ力を更に有名にしたのは、1993年に学術誌「ネイチャー」に発表されたアメリカの心理学者達フランシス・ラウシャーら(Frances H.Rauscher, Gordon L. Shaw, Katherine N.Ky)のレターです。ラウシャー教授たちはモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ ニ長調K.448」を学生に聞かせたところ、他の音楽を聞かせたり、または何も音楽を聞かせなかった学生よりも、スタンフォード・ビネー式知能検査の空間認識テストにおいて高い成績を示すこと、ただしこの効果は音楽を聴いて10分から15分程度だけ見られる限定的なものであることを報告しました。

しかしこの実験にはいろいろとその実施方法に問題があり、また再現性も低かったことから、賛否両論を受け、今日の「音楽療法」「音響心理学」の分野においては定説とはなっておりません。

ただ、学会における評価とは別にラウシャー教授たちの実験結果はセンセーショナルに受け止められ、注目されることとなりました。1997年、アメリカのドン・キャンベル氏が世界的なベストセラー本『モーツァルトで癒す~音と音楽による驚くべき療法のすべて』( ""The Mozart Effect: Tapping the Power of Music to Heal the Body, Strengthen the Mind, and Unlock the Creative Spirit"")を出版するに及び、「モーツァルト効果」という言葉と、「モーツァルトの音楽を聴けばIQが上がる」というキャッチフレーズが世の定説となり世界中でモーツァルト旋風を巻き起こすことになりました。また日本では、上述の和合博士の研究とも相まってモーツァルトの音楽が持つ驚異的な力、という伝説を生むに至っています。

和合博士はモーツァルトの音楽が持つ療法的効能の原理を、『癒しのモーツァルト』のインタビュー記事の中で次のようにかみ砕いた表現で説明しています。

「皆さんの両耳のど真ん中に、間脳というものがありましてね、その一部の視床下部というところが自律神経の中枢です。そこから出ている頸椎という部位があって、それが副交感神経の出口にあたります。ここに波及する要素を選ぶんです。そうすると、誰でも好き嫌いに関係なく、聴き入るだけで副交感神経にスイッチが入り効果が表れます。唾液が良く出たり、血圧心拍がすぐ安定したり、体温が上がって温かくなったりね。そういったことを生理的現象として見つけ、モーツァルトの音楽療法として、僕は25年間提唱しているわけです。」 (『癒しのモーツァルト』~和合治久さんインタビュー(2016/05/20)

ただ、「モーツァルトの音楽」でなければいけないわけではなく、同上のインタビューの中で和合博士は音響学的なパターンが同じであれば、同等の効果が得られるとし、一例として、「バッハのG線上のアリアなどは、よく唾液が出てきて、IgAという免疫物質が高まります。周波数においては約4,000Hzの周波数帯域を多く含むものを選ぶことに意味があります。 」と説明しています。

また、4000Hz以上の高周波数の音楽に関しても、「4,000Hzはとても良く副交感神経に効いてきますが、一方で、それより高い音というのは大脳皮質とかに効いてきますので、大脳生理学的には意味があります。認知症予防などにも繋がりますね。認知症やアルツハイマーというものは脳の血流の悪化なのです。いわゆるMCIと言われている軽度認知症などは、脳の機能の未病状態と言えますが、ちょっと忘れっぽくなったとか、そういうような段階で早く気が付いて、高周波を浴びて血流を良くすることが大事です。血流を良くするということは脳細胞に血液が行くようにすることですから、酸素の供給、栄養成分、グルコースというブドウ糖の供給に繋がります。これらを供給しなければ脳は死んでしまいますからね。その結果、認知症になってしまうのです。だから、その辺りをうまくやらないといけないし、そういう時に、高周波を含んだハイレゾといったものに意味が出てくると思いますね。 」と言及されています。(出典

これはカリフォルニア大学アーバイン校の神経生物学・行動学科教授のノーマン・ワインバーガー博士がその論文『音楽と脳』の中で述べているように(Norman M.Weinberger:Music and the Brain "SCIENTIFIC AMERICA November 2004" )、「その人にとって重要な楽音に対してより敏感に反応するよう、脳そのものが変化していく。神経細胞が敏感に反応する周波数が、学習によって<調律>し直され、重要な音にはより多くの神経細胞が最適に応答するようになる」という考えにも共通していると言えます。>>NEXT